「口噛み酒(くちかみさけ)」ということばをご存知ですか?

名称未設定-1ごはんを噛んでいると、なんとなく甘みが感じられます。唾液に含まれるアミラーゼという酵素によって デンプン質がブドウ糖に変化し、甘みを感じるのです。また、糖質はそのまま放置すると空気中の酵母の働きによりアルコール発酵します。これがお酒となります。

記録に残っている日本で最古の米のお酒は、「日本書紀」の中に神吾田鹿葦津姫(カムアタカシツヒメ)が 「狭名田(サナダ)」の稲で造り、その酒で占いをした天甜酒(アメノタムサケ)といわれるものです。 女性が神事に関連して造ったことを考えるとこの酒は口噛み酒ではないかとも言われています。

また、大正末まで、沖縄の西表島では口噛み酒が造られていました。炊いた砕米を女性が噛み、 噛んだらはき出し、噛み終わったら、石臼で挽き、泥状にし、甕(かめ)に保存しました。3日もすると 空気中の酵母の作用で弱い酒ができあがったそうです。

このような原始的な酒は品質も安定せず、雑菌との交雑で腐敗を起こすことも多々あったと考えられます。その後、麦芽や麹の糖化作用を利用し、衛生的で品質も安定したお酒へと変化していきました。