日本酒は一人で飲んでもみんなで飲んでも美味しく楽しい。さらに、「日本酒の造り方」を知っていたら、もっと楽しいものです。
造り方を知ることで、その先にいる「日本酒造りに関わっている人たち」にまで想いを巡らせることができたら、より味わい深く感じられるかも。

まずは、日本酒の造り方チャートで全体の作業時間内容を知っておきましょう。
(下記は、速醸系酒母を使った工程)

日本酒の造り方

 

1.精米、洗米・浸漬(しんせき)、蒸米(むしまい)

精米■精米
玄米の外表部を削り取る工程。
外表部にはたんぱく質、脂肪、灰分、ビタミン類が多く、酒質を劣化させるため、これらの成分を減少させることが目的です。

ところで、精米歩合とは、精米前の玄米重量で精米後の白米重量を割って100をかけ%で表し、数字が小さいほど高精米を意味します。精米歩合70%というと、お米の外側が30%の重さ分削り取られているということです。

洗米■洗米・浸漬(しんせき)
洗米によって白米の表面に付着している糖(ぬか)などを洗い流し、浸漬により白米に適度の水を吸収させます。
白米の吸水率は蒸米の品質に大きな影響をあたえます。

蒸米■蒸米(むしまい)
白米を蒸し、蒸米にする工程。
蒸米にすることにより糖化酵素の作用が受けやすくなります。また、加熱により殺菌が行われるので以後の醸造工程を安全に行うことができます。

2.麹(こうじ)造り

「一麹、二もと、三造り」といわれるように、酒造りで最も大切なものの一つが麹(こうじ)です。
麹造り麹はカビの一種である黄麹菌(きこうじきん)を蒸米の表面から中心部分へと繁殖させたもので、デンプン分解酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素など、 様々な酵素の供給源として用いますが、特に重要なのはデンプン分解酵素であるアミラーゼで、米のデンプンを分解しブドウ糖に変える働きを持ちます。そのブドウ糖を清酒酵母が利用してアルコール発酵を行います。

麹菌が生育する過程で様々な成分を麹内に蓄えます。これらの成分は醪(もろみ)中に溶け出して、清酒酵母の栄養源となるだけでなく、お酒の旨味成分として酒質に大きな影響を与えます。

3.酒母(しゅぼ)造り

「二もと」にあたます。酒母造りは麹造りの次に大事な作業工程です。
酒母(酛(もと))は、麹、仕込み水、蒸米を混ぜた状態で酵母を加え培養したものです。
酒の母と書き、文字通りその後に続く醪造りの基本で、これを上手く造る事により酒造りの骨組みの良し悪しがでます。

酒母この酛の種類には、生酛(きもと)、山廃(やまはい)、速醸(そくじょう)、高温糖化などがあります。

(生酛系)
前者の二つ。
生酛と山廃は古くから取り入れられた製造方法で、蔵内に住み着く乳酸菌により作り出されます。酵母の培養に時間が掛かりますが、独特の力強い、味のある酒ができ、燗酒に向きの酒が誕生します。
(速醸系)
後者の二つ。
速醸、高温糖化は醸造用の乳酸を添加して酒母を作り出す製法です。これが現在主流の方法で、安定した品質の酒母ができ、培養日数も短く効率が良いのが特徴です。

4.醪(もろみ)造り

酒造りにおいて
「三、造り…醪(もろみ)」の部分になります。
麹の持つ様々な酵素と純粋に育てられた清酒酵母が活躍するのが、酒造りの中心になる醪(もろみ)の工程です。
醪(もろみ)醪の中では、酵素の力で蒸米のデンプンがブドウ糖に分解されるだけでなく、各種アミノ酸、ペプチド、有機酸などが生成されます。そして清酒酵母はアルコール発酵を中心に様々な香味成分を造り出していきます。

また麹の役割は米の糖化、分解だけにとどまらず、清酒の香気生成に微妙に関わり、さらに清酒に「まるみ」をつけることもあります。生もとにおける発酵過程で生成された種々の成分とあいまって、ゴク味のある調和のとれた味が造り出されます。

清酒の醪仕込は三段仕込といって、酒母に麹、蒸米、宮水を「添(そえ)」「仲(なか)」「留(とめ)」の3回に分けて仕込みます。仕込に用いる麹、蒸米、宮水の分量は、前の仕込時の約2倍量となるよう加えていきます。
この操作は、雑菌による汚染を防ぎ、また、4~5%のアルコール濃度で酵母を繁殖させることにより、酵母にアルコールに対する耐性(強さ)を付与します。

4.上槽(じょうそう)

上槽(じょうそう)とは、醪(もろみ)を搾り、酒と酒粕に分ける作業です。手作業で酒袋に醪を入れ、槽(ふね)と呼ばれる昔ながらの搾り機で搾ります。

上槽槽の口から出る搾りたての酒ちなみに槽を用いた搾りで、一番最初に滴り落ちてくるのが、「荒走り(あらばしり)」と呼ばれる微炭酸で若々しく、すっきりとした酒。
次いで、「中垂れ(なかだれ)」、「中汲み(なかぐみ)」、「中取り(なかどり)」と呼ばれる味と香りが一番のった酒がでてきます。
最後に酒袋の位置を変えたり、重りを載せ変えたりと粕と酒に分ける最終段階のことを「せめ」と呼び、雑味が多く味も荒さを感じる酒が出てきます。

袋吊り斗瓶取りさらに贅沢な大吟醸タイプや品評会出品酒に用いられる、「袋吊り」、「斗瓶取り」、「斗瓶囲い」と呼ばれる搾り方。

醪が入った酒袋を吊るし、ゆっくりと自然に滴り落ちる滴をタンクで受けて、ガラス製の一斗瓶(18リットル)に貯め、保管する方法です。
これを別名「雫酒(しずくざけ)」と呼び、その酒の一番美味しいところが味わえるぜいたく品です。

5.瓶詰め、火入れ、貯蔵、ラベル貼りなど

瓶詰め上槽(じょうそう)によって発酵は終了ですが、製品として出荷するためには、まだいくつかの作業時間があります。それが、瓶詰めや火入れ、貯蔵、ラベル貼りです。

しぼりたてのホヤホヤのお酒を新酒といいます。これでお酒が出来上がったわけではありません。
・しぼった新酒にはまだまだ、かすが残っています。静かに新酒を休ませて、上澄みだけをわけます。(滓引き(おりびき))
・滓引きをしても、完全にはかすをとりきれませんので、濾過(ろか)をします。
・殺菌と品質を安定させるために酒を加熱処理します。(60℃~65℃くらい)(火入れ 1回目)
・熟成しすぎないように、厳密な温度管理をしながら、貯蔵します。
火入れ・そのままではアルコール度数は20度前後もあります。仕込み水を加えて、さらに目的とする味へ整えます。(割水)
・瓶詰め時にもう一度加熱処理をして、殺菌をします。そして.出来上がったお酒に栓をしてラベルを貼ります。(瓶詰め、火入れ2回目)

これで完成しました、乾杯!
普段なにげなく飲んでいるお酒にもたくさんの作業工程があって、時間もずいぶんかかるものなんです。しっかり味わっていただくことにしましょう。